耳鼻科用CTの重要性
- 耳鼻咽喉科専門
- 超低被ばくコーンビームCTを導入
※当クリニックのCTは純日本製コーンビームCTで、2016年10月より運用しております。総合病院にあるCTは通常、ヘリカルCTです。
有用例について
鼻と耳の病気の多くは、骨または粘膜の炎症が原因で起こります。というのも、鼻はいくつかの骨と軟骨から形成されており、副鼻腔という空洞にさまざまな神経が走っています。耳も、鼓室や乳突洞など、やはり骨で囲まれた空洞から形成されており、耳小骨という小さな骨が3つ連鎖して音を伝えています。
耳鼻科用コーンビームCTは、骨と粘膜を詳細に撮影可能なため、耳と鼻の病気に対して極めて有用なのです。しかし、全国でも耳鼻科用コーンビームCTを採用しているクリニックはまだ多くありません。耳鼻科用コーンビームCTが、どれほど絶大な威力を発揮するかをご紹介します。以下のような病状が疑われる場合は、耳鼻科用コーンビームCTが必ず必要です。
特殊な副鼻腔炎
主に細菌感染から炎症を起こして発症する副鼻腔炎(ちくのう症)ですが、まれに虫歯や真菌(カビ)が原因で発症することがあります。通常のレントゲンでは、原因が虫歯やカビがどうかまでは判断できません。もし原因が虫歯やカビの場合は、通常の副鼻腔炎の治療では治せません。カビが原因の場合は手術治療、虫歯が原因の場合は歯科治療が必要です。
蝶形骨洞の病変
副鼻腔は4つに分かれています。そのうち、篩骨洞と蝶形骨洞は通常のレントゲンでは判断できません(上顎洞、前頭洞、篩骨洞の一部は通常のレントゲンでも判断可能)。特に蝶形骨洞の脇には視神経が走っているため、発見が遅れると失明する恐れもあります。コーンビームCTであれば、篩骨洞や蝶形骨洞での病変も、発見が可能です。
副鼻腔炎の手術
細菌が引き起こした副鼻腔炎は慢性化する場合があります。慢性化すると手術が必要な場合もありますが、副鼻腔手術をするべきかどうかを判断する際にもコーンビームCTが活躍してくれます。副鼻腔炎の他にも、副鼻腔腫瘍、鼻茸の進行程度の確認や同じく手術の必要性を判断し、術式の確定に有用です。
副鼻腔や中耳の腫瘍
副鼻腔や中耳の腫瘍は命に関わるため、早期発見と的確な判断が重要です。乳突洞炎など急性中耳炎の波及程度の把握、真珠腫性中耳炎や外耳道真珠腫の進展の把握、聴神経腫瘍などによる内耳道の拡大確認、鼻副鼻腔腫瘍や膿胞性疾患の把握、外耳道癌による骨欠損の把握といったことが可能です。
メリットについて
1. 短時間で三次元画像を構築できる。
貴重な患者さまの時間的負担を少しでも軽減したいという考えから取り入れたコーンビームCTは、撮影時間30秒程度、画像処理に5分程度で済みます。椅子に座っていただいたままで撮影し、その場ですぐに診断が可能です。
2. 超低被ばくで身体や環境への負担が少ない。
被ばく線量は0.014~0.022mSv(ミリシーベルト)。耳の精密撮影で両側別に撮影した場合は、この2倍の被ばく線量となります。一般的な通常のヘリカルCTの被ばく線量は1.8~3mSvですので、100分の1(撮影範囲による)です。
3.ヘリカルCTと同等の診断ができる。
鼻、副鼻腔、中・内耳といった骨に囲まれた複雑な部位も、解像度の高い画像での撮影が可能です。ただし脳や頸部(甲状腺や唾液腺、頸部リンパ節など)、軟部組織の撮影性能は低いため、これらの異常が疑われる場合は、提携先合病院にてヘリカルCTを撮影して頂きます。
4.ヘリカルCTより、料金が安い
一般的なヘリカルCTが4,500~4,000円なのに対し、コーンビームCTは3,390円(3割負担の場合)。他院で撮影する場合は、撮影以外の諸費用もかかり、合計6,000円程度になります。当クリニックであれば、約半額で撮影可能です。※ヘリカルCTは性能により料金が異なります。
安全性について
副鼻腔を撮影する場合、一般的なヘリカルCTと当クリニックのコーンビームCTを比較すると、その実効被ばく線量は約5分の1です。