鼻水には、ウイルスや細菌から身体を守る役割があります。基本的に無色透明ですが、様々な原因によって色がつくことがあります。鼻水は、身体の変調を知らせてくれる大切なサインです。色ごとに、気になる疾病をまとめました。
透明で粘りがある
細菌やウイルスが侵入したり、花粉症などのアレルギーにかかっている。
鼻水が褐色または黒色
鼻血や炎症などによる出血が原因で、黒っぽくなることもあります。
鼻水が黄色
鼻炎や副鼻腔の炎症が原因。細菌やウイルスが体内に侵入すると、白血球や免疫細胞がそれをやっつけるべく機能します。機能後、死滅した白血球や免疫細胞が鼻水に含まれることで黄色っぽく見えます。
急性副鼻腔炎
ウイルスや細菌の感染が引き起こす急性鼻炎。風邪の治りかけに出る黄色い鼻水は、ほとんどが短期間で改善します。
慢性副鼻腔炎
急性鼻炎やアレルギー性鼻炎などが慢性化した鼻炎。炎症を治すために機能して死んだ白血球や免疫細胞が、鼻水を黄色っぽくします。黄色ではなく褐色がかっている場合は、炎症による出血の恐れがあるため、注意しましょう。
アレルギー性鼻炎
花粉やアレルギー物質によって発症(原因は200種以上)。アレルギー性鼻炎の鼻水は通常無色透明ですが、症状が悪化すると鼻水が黄色になる場合があります。花粉症も含め、アレルギー性鼻炎は、鼻水の色や量をチェックしてその症状や程度を判断します。
副鼻腔炎(ちくのう症)
黄色い鼻水で疑われる疾病の中では、最も重症化する恐れのある病気です。副鼻腔に膿がたまり、炎症している状態です。副鼻腔炎には様々な種類があります。以下でその種類と原因をご説明します。
副鼻腔炎の種類と原因
急性副鼻腔炎
ウイルスや細菌の感染による急性鼻炎から発症。風邪や疲労、体調不良などが原因で発症する場合もあります。
慢性副鼻腔炎
急性鼻炎やアレルギー性鼻炎などによる副鼻腔炎が慢性化した状態。慢性的に炎症しているため、膿が副鼻腔内にたまり、頭痛を感じることもあります。広い範囲に膿がたまりやすく、頭痛や嗅覚の低下を引き起こす場合もあります。
好酸球副鼻腔炎
鼻内に増加している好酸球(自身の血球の一種)が主体となって炎症を起こしている状態。通常の副鼻腔炎に比べて治療抵抗性が高いのが特徴で、難病医療費助成制度の対象疾患です。詳しくは、当クリニックにお問い合わせください。
副鼻腔真菌症
抗生物質を服用しても改善しない場合に疑われる疾病。糖尿病や悪性腫瘍が発症リスクを高めます。カビが原因の副鼻腔炎ですが、片方だけという症例が多いようです。
黄色い鼻水の治療
生活改善で治る場合と、耳鼻咽喉科での治療や手術が必要な場合があります。専門医以外での判断は難しいため、黄色い鼻水が続くときは、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
アレルギー性鼻炎
内服薬や点鼻薬の処方、洗浄やネブライザーによる治療のほか、粘膜を焼く鼻腔粘膜焼灼術、粘膜の奥にある骨を削る粘膜下下鼻甲介骨切除術、さらにアレルギーに関与する後鼻神経の凍結術、切断術などの手術を行います。
急性副鼻腔炎
抗生物質の短期投与などで、比較的簡単に治ります。しかし炎症が長引くと、膿を排出する粘膜の機能が低下し、粘膜そのものが腫れて、さらに炎症を悪化させる場合があります。専門医による適切な診断治療を受けた後、しっかりと疲労回復するのが最も有効です。
慢性副鼻腔炎
日常生活に支障があるほど重症な場合や内服薬で効果が乏しい場合は、手術をおすすめします。鼻内副鼻腔手術、必要に応じて鼻粘膜焼灼や粘膜下鼻甲介骨切除を行い、鼻腔内の気道を確保します。
好酸球性副鼻腔炎
通常の副鼻腔炎に比べて治療抵抗性が高く、治りにくいので注意が必要です。自宅で行う洗浄や点鼻薬などで悪化を防ぐことはできますが、鼻茸が非常に大きくなり鼻の中に充満している場合などは、手術が必須です。喘息と関連している可能性が示唆されていますが、詳しくは解明されていません。難病医療費助成制度の対象疾患です。詳しくは、当クリニックにお問い合わせください。
副鼻腔真菌症
副鼻腔洗浄や内視鏡手術などの外科的治療を行います。切開し副鼻腔を開放して、真菌の塊を除去したり、病的粘膜の清掃を行います。
黄色い鼻水だけでなく、頭痛や嗅覚障害などの症状が現れた場合は、できるだけ早めに診察を受けましょう。